アラサーがアイドルのために原宿でティッシュ配りした話

去年の今日2019年12月8日、私はPRODUCE101JAPANというオーディション番組にどハマリしていた。

 


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佐藤景瑚

こちらが私の1pick佐藤景瑚(さとう けいご)君 22歳 名古屋出身

182cmの長身モデル体型 雰囲気に華がありハイブランド好き、儚い歌声の高音職人であり好きな女の子のタイプは「わがままな子」しかし中身は5歳児、漢字が読めないので私たちはファンレターにふりがなをふっている。

 

国民プロデューサー(番組視聴者)になるまでの経緯と景瑚君が1pick(1番推している練習生)になるまでの経緯は超大作になってしまうので省きます。

 

視聴者による投票数の上位11人がデビュー出来るという趣旨の為、私たち景瑚君を応援する国民プロデューサーは結託して投票してくれる人を増やさないといけません。

 

主な活動として

  • 友達や同僚に投票をお願いする
  • SNS上で誰を応援するか迷っている人に布教する
  • YouTubeの個人動画の再生数を増やし注目度を高める
  • 駅や街頭、ネット上に応援広告を出し投票を呼び掛ける 等

 

番組の最終回が12月11日であり当時はもうやれることは全てやっていた。他のライバル練習生のファンダムも同じようにもう努力の飽和状態だった。久しぶりに連絡を取った友達に投票をお願いしても「他の友達から〇〇君に投票するように言われてるんだ」と断られることも何度かあった。

 

そうなるともうこの時期に完全な新規を見つけるのが難しく“無差別攻撃”をするしかない。Twitter上で他の練習生のファンの方がやっているというのを見かけていたが当ファンダムでも街頭でのティッシュ配りを計画していた。

 

この企画に携わっていた方から少し話を聞いた限り過酷な日程で動いていた。ティッシュ配りをするためには管轄の警察署に道路使用許可申請というものをしないといけないらしく、皆さん学校やお仕事が忙しい中なかなか都合が合わなかったり1000個というティッシュの発注やそれに挟むチラシの入稿だったり鬼のようなスケジュールで動いてらした。ほぉ~大変だな~頑張ってほしいな~とまだ他人事だった。

 

当時私は平均睡眠時間3~4時間だった。仕事から帰るとYouTubeを永遠に回し続けTwitter上で布教活動に勤しんでいた。友達に「今日の投票終わった?」と何十人も連絡していた(あの時の友達本当にすまんかった)駅広告に出資をしたり某課金アプリに何十万もつっこんでいたし私はやることやってる!私は頑張ってる!という気でいた。

 

正直、ティッシュ配りは私の仕事じゃないと思った。こういうのは若い子がやることだろと。自分はアラサーだし原宿に立つなんて絶対に無理だ。オバサンがやるより可愛い子がやったほうが推しのイメージアップになるんじゃないかと。それに自分は他の活動を頑張ってるじゃないか。若い子が重課金出来ないかわりに私はやってると。そんな気持ちだった。

 

実は景瑚君のファンダムはそんなに大きくない。今まで一度もデビュー圏内に入ったことがない。そんな中やはりティッシュ配りの日が近付いても配布する人員が集まらないようだった。何度も「人が足りません。協力してくれる人いませんか?」「午前中だけでもいいです!」「1時間だけでもいいですお願いします」と呼び掛けていた。

 

「参加したいけど地方住みでいけません ごめんなさい」「テスト期間中で親から止められました」とか「バイト休めるかかけあったけどダメでした」とかそんな言葉で埋まっていく中、私は本当にこれでいいのか葛藤していた。やりたくても出来ない子がいるのに、これで景瑚君がデビュー出来なかったら私は後悔しないか?胸張って全力で応援したと言えるか?と。景瑚君は今13位だ。このままじゃ数日後には一般人に戻る。泣いても笑ってもやるしかない。

 

多くは書けないがこの企画の主催の方は番組最終回後に日本を離れることが決まっていた。景瑚君がデビューしてもしなくても日本を離れるのに何も出来ないのは絶対に私が後悔すると。

 

「12月8日の15時までだったら参加できます。」下顎ガクガク震えながらLINEした。

 

本当に恐怖だった。生まれて今日までティッシュ配りなんてしたことない。断られたり睨まれたりしたらどうしよう。私からなんて誰も貰ってくれないだろうな。うるせーBBAとか言われたら立ち直れないと思った。どんな服着ていけばいいのか分からなかった。前日ルミネに服買いに行った。とにかく怖かった。

 

当時私は結婚して5か月だった。夫に「明日ティッシュ配りしてくる」と言ったら「副業!?そんなにお金無いの!?」と心配された。ごめんこれ金はもらえないやつ。

 

 

 

この配布企画は12月7日、8日の2日間行われた。7日は土砂降りで極寒だったらしい。8日は暑いくらいだったけど「今日頑張ってください」「ホッカイロ差し入れに行きます」とたくさんリプライ頂いて泣いた。

 

前日参加した方からコツを教えてもらった

  • 観光客やインバウンド風な方は避ける
  • 誰にでも配るのではなく中高生~20歳前後を狙う
  • ターゲットを決めて遠くから目線を送る、そこで避けられたらやめる
  • カップルはおいしい。彼女から彼氏に布教してくれたりする
  • 受けとってくれた後の雑談が大事

 

奥深いなと。皆さん緊張しまくってる年上に超やさしく「大丈夫ですよ~」とお声かけてくださった。ありがたい。本当に景瑚君のオタクは優しくて大好き。

 

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手プルップルで「こんにちは!よかったらティッシュつかってください!よろしくおねがいします!ありがとうございます!」と大きな声を出した経験は死ぬまで忘れないと思う。想像以上に原宿はアラサーに優しかった。冷たい態度をとられることは一度もなかった。

 

配布メンバーの中には10個以上年下の学生さんや仕事の休憩時間に抜けて参加予定だったり午前中仕事を終えてからくる方もいて「これは自分の仕事じゃない」と線引きしていたことが恥ずかしくなった。

 

路上で配布していいのは2人までという決まりがあるらしく、数時間配ったら待機している人と交代みたいな制度だった。待機中はSNSで「原宿 ティッシュ」「ティッシュ 日プ」「景瑚 ティッシュ」でエゴサし、もらってくれた人にお礼と詳細な布教をして投票までこぎつけるのがワンセットだった。ただ配るだけではなくこっちの方がかなり大事だったと思う。1票でもいい。企画してくれた方のために、やりたくても出来なかった方のために、今日頑張ってくださいと言ってくれた方のために、景瑚君のために1票でも獲得したいと思った。景瑚君の夢を叶えたいと本当にそれだけだった。

 

その後12月11日番組最終回を迎えた。なんと景瑚君は爆発的に順位を上げて7位でデビューした。奇跡が起こったと思った。ティッシュをもらってくれた人からもおめでとうと言われて志望校に合格した時より内定頂いた時よりプロポーズされた時よりうれしかった。なによりここまで頑張ってくれた佐藤景瑚君ほんとうにありがとう。

 

 

 

ここまで私頑張ったんだよ!アピールにしか聞こえないかもしれないけどそれは全然違う。どんだけ金払っても頑張っても自分ひとりじゃオーディション番組では推しをデビューさせられない。ここまでこれたのは全部同じ推しをもつオタクのおかげだった。

 

無事に3月4日JO1として景瑚君はデビューしてアイドルになった。そんな中とんでもないことが起こった。雑誌のインタビューで本人がこの企画に触れてくれていた。

ray-web.jp

企画に参加したメンバーで夜中に騒ぎまくった。死ぬほど雑誌買った。

 

これからPRODUCE101JAPANシーズン2も始まる予定らしい。また新しい国民プロデューサーがたくさん生まれると思う。最後に先輩面させて頂くと、後悔しないでほしい。年齢とか関係ないから。自分のためにも1pickのためにもやれることは全部やってほしい。